サンクチュアリ

今流行りの、ネトフリドラマではありません。
劇団四季ノートルダムの鐘。もうかれこれ数十回は観ているのでは?(残業代を新幹線代に換金して京都遠征したこともしばしば、、)

四季の演目を純粋に好きな方には本当に顔向けできないんだけど、演目×役×キャストの組み合わせを非常に気にするタイプなので、なかなか贔屓以外のキャストで観ようという意欲がない、保守派(ゆえに四季ファンのTwitterとか絶対フォローできない。話絶対合わない。)

東京公演もぜひカジは泰潤さんで!(欲を言えば佐久間さんフィーバスで)と思っていたけれど、BBもジーザスもあるし、見計らってたらそのまま観られずじまいな匂いがしたので思い切ってお初の寺元さんカジ。
保守派とは言いつつ、実は寺元さんずっと気になってたのよね。

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寺カジさん、第一印象は「小柄!ほそっ!」と。カテコで見る限り特別小柄な方ではないと思うけれど、金本さん見慣れていると相対比較でサイズ感小さく見える。童顔族だし、声も青年みがあるというか、まだ大人としては未熟な気さえ感じられる(でも実は結構いいご年齢なのね。)

私的には特に2幕がとてもよかったなあと。
というか1幕はまだいつもと違うカジモドを解釈するのに時間を費やして、「陽ざしの中へ」あたりはまだ没頭できていなかったのかもしれない。
少し歌い方が海宝さんっぽいというか(調べたら案の定東宝の経歴お持ちだった)、そんなことがよぎったり。
高音寄りで繊細なお声のように感じられたので、陽ざしの〜みたいな壮大な曲よりも「天国の光」のようにしっとりと歌い上げる曲は特に心地よく感じられた。

そして冒頭で書いた通り2幕を良かったなと思ったのは、カジモドソロでない曲(「エジプトへの逃避」や「奇跡もとめて」)もすごく丁寧に歌っていらっしゃるのが印象的だったから。
正直あまりこの二曲って注目度薄かったんだけど、決して主張し過ぎず、だけどしっかりとカジモドの揺れ動く感情を乗せていらっしゃって、グッときた。

何より「石になろう」ね。当たり前だけれどキャストさんによってこんなにも歌い方や捉えられ方が違うのかとも思った。
金本さんカジは何もできない無力感に抗えない感じだったけれど、寺元さんカジはその無力感に対してもさらに憤りを露わにする、感情爆発型のようで。あれはかなり私も心拍数上がったというか、揺さぶられたというか。高音のロングトーンも綺麗なんだけど後半濁らせていくほど、観客の心も締め付けられる。

そういや金本さんは時々無邪気な笑みを浮かべることがあるんだけど、寺元さんって今までの生い立ちが染み付いていて心から笑うことがあんまりないような。どこか含みのある笑みで、それがまた切なかったな。
あと、比較ばかりで申し訳ないけど(良し悪しではなく)金本さんってもっと下重心な気がしたんだけど、寺元さんは身軽さみたいなのもあって、ひょこひょこと聖堂を駆け回る姿なんて私トイプードルにしか見えなかった。
こりゃ愛くるしいと言われる所以もわかるかあと。
これは勘違い?かもしれないけど、寺元さんって視線も結構下目な気がします。あの姿勢であれば自然なことなのかもしれないと思ったんだけど、そういや金本さんって二階席でも結構目が合う印象だったので。

「世界の頂上で」も演出が変わったのか寺元さんパワーなのかわからないけれど、エスメの母性みたいなものをすごく感じた。
だからこそより、エスメが寺元さんを恋愛の対象としてみていないことが強調され、ある意味残酷にも思えたり。トータル良い観劇体験だったなあと。贔屓さんで見る安心感あるけど、ある意味予定調和的でもあるので、こうして違う方の歌や演技を見聞きすることでまた新たな発見があり、面白かったです。

 

 


そしてこれまたお初の加藤迪さんフィーバス。
加藤さんはほぼマンカストラップでしかお世話になってないので(あとは懐かしき春のめざめ、、)他の役のイメージってあまりなかったけれど、思ったより背が高いし細身なのね。知っていたけれど育ちの良い雰囲気で、中低音は温もりが感じられて好き。ラウルにキャスティングされたのも納得。でも遊び慣れているようには見えなかったかな、すごく誠実そう 笑。
フィーバスは佐久間さんでお世話になり過ぎて、ある意味型が出来てしまっているかも(回数関係なしに歌も演技も大好きなのです)。ユダで観られるのをとても楽しみにしてます。

これは加藤さんに限った話ではないんだけど、1幕ラストの壮大な演出と音楽の中、フィーバスだけ怪我で意識失ったまま終わるのちょっと笑ってしまう。

 


【細々としたメモ】
・トプシー:カジが顔を見せた瞬間、男性クワイヤの方々の反応が女子でした。
・タンバリンのリズム:エスメの足をあんなふうに男性陣が覗き込む演出あったっけ。
・天国の光:途中カジが立ち上がる演出増えたような。
・奇跡御殿:音響トラブルでスピーカーがダメになる事態が発生したけど、そんな事態に動じずむしろギアを一段階上げて歌い切ったワイスさんに拍手。
・やはり四季劇場、音圧が申し分ない。鼓膜の振動が最高潮でまさに共鳴してました。

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